甘いものには棘がある‥かも
このブログではご無沙汰です。
「春眠暁を覚えず」を身にしみて感じている獣医師の大野です。
最近めっきり暖かくなってきましたね。春の訪れを感じまくり
さて、今日は最近なぜか来院が増えているあるものの誤食についてお話ししようと思います。
そのあるものとは‥そう
チョコレート🍫
です。
今となっては結構ご存知の方も多いと思いますが改めて‥
ちなみにアメリカのPet Poison Heiplineという中毒などの電話相談サービス(?)の運営会社によると犬では一番問い合わせが多い案件だそうです。
では、チョコレートを食べるとイヌやネコではなぜ中毒になってしまうのでしょうか?
チョコレートで中毒源はカカオ豆に含まれるカフェインやテオブロミンという苦味成分、全部ひっくるめてメチルキサンチン類といわれるようなものです。
こいつの作用はざっくりいうと神経の異常な興奮や筋肉の異常な収縮を引き起こし、嘔吐、下痢、運動失調、筋痙攣、不整脈などを引き起こします。
この物質は肝臓で分解されて無毒化されて尿中に出て行くのですが、イヌでは(おそらくネコでも)この代謝にヒトの3倍くらい時間がかかってしまうようなんです。
要するに一旦摂取しちゃったらなかなか体外に出て行かないからそうこうしているうちに中毒になっちゃうといった感じでしょう。
ちなみにウサギやクマ、サルでもメチルキサンチン中毒、あるいはその疑いの報告はあるみたいですね。
ではその問題の中毒量なんですが一概にこれとは言えないようです。
テオブロミンの量として15〜20mg/kgとか90mg/kgとかあるいは2.3kgの体重で46mgとか‥。
というのもチョコレートに対する感受性に個体差があったりとか、胃内の食渣の量で影響が変わったりとかするみたいで一概にこれとは言えないみたいです。
とりあえず苦味成分の多く含まれているビターチョコレートは中毒になるリスクが高くて、あまり含まれていないホワイトチョコレートは中毒になるリスクが低い(とはいえ膵炎とかになったらまた大変だから食べさせないでくださいね)という認識でいいかなと思います。

この画像だけでどのメーカーのチョコレートかわかった方にはチョコレートマスターの称号を授与します笑。
冗談はさておき、体重5kgくらいの子で写真のようなミルクチョコレート1枚まるまる食べてやっとこさ中毒量みたいですね。
「なんだ、意外と大丈夫じゃん」と思ったそこのあなた!!!
だめですよ油断しちゃ!!万が一が起こっちゃったら取り返しがつかないですからね!!(すいません、僕も計算した時思っちゃいました汗)
とりあえずは長くなりそうなので治療や食べちゃった場合の対応なんかは次回に回そうかと思います。
ではみなさんごきげんよう
参考文献
大島誠之助・左向敏記 禁忌食(その2) チョコレートとイヌ・ネコの健康
ペット栄養学会誌、15(1)、36-38、2012
Sign J. Plunkett 著 川田睦 監訳
伴侶動物のための救急医療 増補改訂版 2015 緑書房